高学年になるにつれて,算数嫌いが増えることが報告されている(ベネッセ教育総合研究所 2007)。その理由として,古藤(2014)は,「学年進行とともに問題解決の場面で,より次元の高い,それらをさらに発展させ活用する能力が要求されるから」と述べている。つまり,学習内容をよりよく理解させるとともに,児童が問題解決能力を身に付けることができるように指導していくことが重要と言える。
算数の学習において,問題解決の過程で働くのが,数学的な考え方である。この数学的な考え方については,研究者によって様々な分類,整理がなされてきた。(例えば,片桐 1995)
数学的な考え方について,6学年の学習内容では,関数の考えが領域を横断して非常に多く扱われている。概観すると,年間を通して比例を中心とした関数の考えを整理し,比例・反比例で関数そのものを扱う学習に発展させていると言える。そこで私は,6学年において,身に付けさせる数学的な考え方として,特に関数の考えを重視する必要があると考えた。
このような立場から,本実践では関数の考えについて,年間を通してどのように育てることが可能なのか,実践により明らかにする。その方法として,昨年度の研究成果から,関数の考えを育成するために,6学年のそれぞれの単元において,重点となる式の意味理解の場面で有効と思われるモデルを位置付けた。問題解決において児童がそのモデルを媒介してどのように関数の考えを活かし式の意味を捉えていったのかを,授業の実際とノート記述から考察する。
実践から,関数の考えを育成する指導の在り方を提案したい。
<引用・参考文献>
ベネッセ教育総合研究所 2007 小学生の計算力に関する実態調査2007
古藤怜 2014 算数のたのしさを子どもが実感する授業 新しい算数研究No518 東洋館
片桐重男 1995 数学的な考え方を育てる「関数・統計」の指導 明治図書.