これまでの自分の国語科の実践では、書くことの学習活動で、「何を書いていいか分からない」「どう書いていいか分からない」「テーマが見つからない」という子どもが多かった。「自分の書きたいことを何でも書いていいんだよ」「自分の思ったとおりに書いていいんだよ」という言葉がけは、一見、書くことへの負担やプレッシャーを和らげているかのようである。しかし、子どもたちには、このような具体的な手立てのない言葉がけは、かえって見通しをもてなくするものであった。
本研究は、平成25年度、3年生30人の学級で行った。国語科の「報告書」を書く単元の実践である。
子どもたち一人一人が日常生活についての調べるテーマをもち、全員が自分なりの報告書を完成させることを目指して取り組んだ。「単元全体の見通しをもち、一人一人がそれぞれ自分のテーマを設定する課題設定の工夫」、「KJ法的手法を学習活動の中で繰り返し取り入れること」、「活動の見通しがもてる板書や環境づくり」などの具体的な方策を取り入れた。また、単元作りでは、管理職と連携することも大切にして実践を進めた。
これらの方策により、子どもたちは報告書作成までの道のりを理解し、一人一人が自分なりのテーマを設定することができた。また、単元の様々な場面でKJ法的手法を取り入れ、少人数グループでの話し合いを繰り返すことによって、単元を通して意欲を継続させ、情報を整理し、分かりやすい書き方やまとめ方を身に付けていった。そして、全員が人まねではない、自分なりにまとめた報告書を作成することができた。全員が満足感や達成感を味わうことができた。