これまで教育現場に導入されてきたプロジェクタや電子黒板,実物投影機などのICTは主に「教師」の活用を想定して導入されてきた。今,さまざまな地域,学校,自治体単位で「タブレット端末」という新しいICTの導入が進んでいる。これにより,「教師」だけでなく「児童生徒」にも,ICTを活用することへ比重が移りつつある。
また,現行の学習指導要領では,言語活動の充実が求められている。そのために,私は,各教科等の指導で身に付けた内容を表現したくなる意欲を高め,的確に表現する力を育成するために,授業でICTを実践的に活用していくことを大切にしたい。
そこで,言語活動の充実をねらい,授業の中での話合い活動においてタブレット端末を活用する実証研究を行った。画面にある図形に書きこんだり,図形を基に話し合ったりして,グループで試行錯誤しながら問題解決を行った。他にも,発表のリハーサルを自分たちで撮影し,その動画を基に話し合ってよりよいものに直す活動を行った。この実践から児童の意欲を高め,表現力の向上を図ることができるのか,話合いの様子の分析と児童のアンケートを基に,効果を検証した。
その結果,タブレット端末を活用した話合いでは,発言数が増えたり,授業のねらいに迫る発言がより多くの児童に見られたりすることが明らかになった。児童の自己評価においても,タブレット端末を活用することで,自己の表現力の高まりを実感していることが明らかになった。また,話すことに苦手意識をもっている児童に対しては,学習を支援するツールになることも明らかになった。
本実践を通して,児童がタブレット端末を活用することは,学習の意欲を高めるだけでなく,どの児童にとっても「わかる」学習活動になると,確信している。