総合的な学習の時間では「協同」、新潟市の生徒指導ハンドブックでは「協同性」、そして芸能界やスポーツ界でも「チーム」や「チーム力」、「組織力」と、目指す姿や目的に同一歩調で向かっていくことが大切だと言われている。現任校の巻南小学校も、校長の学校経営方針を受け、「協同性」「チーム力」「組織力」によって、その方針を具現化しようと教育活動を行っている。私は、生活指導主任の立場で「チーム巻南」のミドルリーダーとして、校長の指導の下、学校課題にどのように取り組んできたかについて述べる。
<生徒指導上の課題>
学校生活アンケートの結果や児童との面談、学校生活の様子から、特に「言葉が原因となってのトラブルが多いこと」、そして「人の気持ちを考えて行動することが苦手な児童が多いこと」が課題として明らかになった。
<生活指導主任としての取組>
①「みんなでかかわろうカード」
自学級をもちながらの生活指導主任のため問題行動が発生していても、その事案を知るのは放課後などの遅い時間となり、解決が後手に回ることが考えられた。その解決のために、「担任→学年主任→生指→管理職」という報告経路を示した「みんなでかかわろうカード」を提案した。
②「思いやりの木」
思いやりの心を育てようと巻南小学校で長年継続してきた取組で、「やってもらってうれしかったこと」や「言われてうれしかった言葉」を一人一人が葉っぱの用紙に記述し、「学級の木」に思いやりの葉っぱを茂らせる取組である。前述のように言葉によるトラブルが多かったことや「言われてうれしかった言葉」の紹介に特化した取組にしたいという校長の指導を受け、年度末に次年度の生活目標を設定する際に、いきいき生活プロジェクト(生活指導部)の会議で「思いやりの木」について、それぞれの意見を出し合った。その話し合いで、次年度の方向性をまとめた。
③「山びこタイム」
これまでは児童朝会で年間2回程度の「山びこ遊び(縦割り班遊び)」だった取組を「協同性」を目的とした縦割り班活動を定期的に実施し、活動を通して「互いの良さを認め合う」場にしたいと考えた。そこで「山びこ遊び」を担当している特別活動部の主任と話し合った。また、話し合う中で、運動会でも縦割り班種目が可能かどうかについて、体育主任を交えて話し合い、次年度の方向性を決めた。
<生活指導主任としての取組から見えてきたこと>
①「みんなでかかわろうカード」→生活指導主任の考えによるトップダウン型
②「思いやりの木」→プロジェクトの総意によるボトムアップ型
③「山びこタイム」→様々な部と連携し段階的に拡大していくエスカレーション型
<考察>
校長の経営方針の下、生活指導主任という「チーム巻南」のミドルリーダーとしての取組から分かってきた成果は次のことである。職員が「チーム」として協同性を発揮できるようにするためには3つの型がある。「トップダウン型」は、喫緊の課題を解決しなければならい場合や、ある程度職員に浸透している取組を「やりきる」方法として有効であることが分かった。「ボトムアップ型」は、新しく作り上げる場面や、職員の課題意識が高い時に有効であることが分かった。また、「エスカレーション型」は、「誰でも活用したり、応用したりできそうなモデル」を1つの軸として示すことで、段階的に拡大させることに有効であることが分かった。今後の課題としては、常に校長の経営方針や思いや願いを受ける感受の高いアンテナを持つこと。そして、校長の意を具現化するために、3つのどの型で取り組むことが「チーム」として有効かを適切に判断することである。