過疎化・少子化等の影響で学校の統廃合が進み、小規模校が姿を消している。しかし、小規模校だからこそできる教育があり、学校は地域にとってなくてはならないものである。地元児童減少の中、学校存続を願う地域の思いを受け止めながら、学校はどのような取組を進めればよいのか。課題解決の取組を通して、学校の使命と役割を明らかにするために本研究を構想した。
山間地に位置する当校は極小規模校である。統廃合が話題となる中、地域住民自らが「学校存続を考える会」を立ち上げ、行政に学校存続を要望してきた。その結果、市内全域からの転入学が可能な「特認校」の指定を受け現在に至っている。
学校存続の有無にかかわらず、学校運営上最も重要なことは、自校の特色を生かした教育を力強く推進することである。そのことが児童を成長させると共に学校の信頼を高め、ひいては学校存続につながる。そこで、教頭として「一人一人を大切にした教育」を進めるための校内体制整備と外部連携強化に努めた。教頭と各主任との連携の強化、全校体制による丁寧な指導・支援の確立、教頭が中核となった校内外の連携・調整等に取り組んだ。
また、学校と保護者・地域が課題を共有することも重要なことである。それが、地域における学校の重要性を高め、学校存続の願いを確かなものにする。そこで、PTAや後援会組織との連携、特認校児童募集等の取組、特別支援学級新設に向けた取組等を通して積極的に保護者・地域との意見交流を行い、課題の共有に努めた。
以上の取組の結果、特色を生かした教育を推進する校内外の体制が徐々に形になってきた。また、学校存続のための取組を通して、学校、保護者、地域の連携が強化されてきた。さらに、「特認校」の新たな役割も見えてきた。この成果と課題を今後の学校づくりに生かし、「時代を新たに拓く特認校」としての使命を果たす。