「こういうふうに歌いたい!」「○○してみるともっとよくなるかもしれない。やってみよう。」私はこのように、子どもに楽曲に対して明確な思いや意図をもたせたい。そして、その思いや意図を演奏として表現できるように仲間とともに主体的に追求活動に取り組ませたい。それは、子どもにとって、「自分たちがつくりあげた音楽なんだ」と音楽表現の根本の喜びを感じることにつながると考える。
「なんとなくこうしてみる」「音楽記号で指示されているからとりあえず指示に従ってみる」でなく、音楽をかたちづくっている要素〔共通事項〕を手がかりに、その要素が曲に対して生み出す効果的な働き(=音楽のよさ)を捉えることができれば、「楽譜では~だから・・・にして歌いたい」と思いや意図が明確になり、子どもはその思いや意図の実現に向けて表現追求活動を主体的に取り組むのではないだろうか。
本実践では、子どもが「共通事項」を手がかりに音楽のよさを捉えられる活動の組織として、以下の内容を組み込んだ授業を構想し、実践、検証していく。
(1) 楽曲の内容を捉える活動の組織
・歌詞の意味を問い、子どもに曲に対するイメージを膨らまさせる。
・楽譜に書かれている強弱記号・速度標語を確認させ、意味を理解させる。
(2) 「共通事項」を手がかりに「考えるポイント」を提示し、思いや意図をもたせる活動の組織
・教師が、手がかりとする「共通事項」の中から絞った要素を中心に考えさせる。
・考える際に、順序立てて整理させるため、「考えるポイント」を提示し、子どものもつ思いや意図を明確にさせる。
(3) 仲間と相互評価しながら練習させる活動の組織
・(2)で明確にした表現意図を実際の演奏に表現できるように練習をさせる。
・自分たちの思いや意図が、聴いている人にもしっかりとわかるような演奏するため、グループで聴き役を立ててアドバイスし合い、相互評価させる。