「はつらつ体験塾」は不登校の解消、学校復帰を目指して、新潟県教育委員会と新潟県少年自然の家が実施している事業である。参加児童生徒が、キャンプで出会った友達や大学生ボランティアとの共同生活を通して、社会性を身に付け、自信を回復することをねらいとしている。学校復帰には、集団の一員として他者との信頼関係を築き、自己肯定感や自己有用感を体得して、自分に自信を持つことが不可欠だからである。
「はつらつ体験塾」の有効性向上を図るため、各市町村設置の適応指導教室に依頼し、通級児童生徒を対象に「はつらつ体験塾」に関する意識調査を行った。調査結果を基に、プログラムの内容や構成を工夫し、大学生ボランティアの関わり方を意図的・計画的に仕組んだ。参加児童生徒は、体験を通し、豊かな関わり合いの中でコミュニケーション能力を伸ばし、自己肯定感や自己有用感を獲得することができた。
「はつらつ体験塾」活動終了後、参加児童生徒の在籍校や関係機関にはつらつ体験塾通信等を送付している。資料がどのように活用されているかについて調査した。学校復帰に当たっては、「はつらつ体験塾」で獲得した力が日々の生活で充分生かされることが重要であり、そのためには学校・関係機関等との連携が欠かせないと考えるからである。調査結果からは、保護者・学校・適応指導教室等の関係機関が、「はつらつ体験塾」という共通の話題でつながり、新たな本人の姿を知る手がかりとして有効に活用されていることが分かった。更に、連携による見通しを持った発展的支援につながっていることも分かった。
「はつらつ体験塾」は、参加児童生徒の社会性を育み自信を回復することはもちろんのこと、保護者・学校・関係機関の双方向の連携を、より一層効果的に高めているものと考えられる。