教育データベース

2013.09.26

特別支援学校

特別支援教育

新潟

平成25年度

特別支援学校高等部における職業教育の実践

新潟大学教育学部附属特別支援学校 伊藤 宏之

 私は,特別支援学校高等部の職業教育の実践を通して,生徒が卒業後の働く生活に対するイメージをふくらませ,自らの課題に挑戦し続けようとする姿を目指している。
 昨年度までの実践を通して,自分の取組に良さを感じながら,指示された手順や方法に従って作業に取り組む姿や「卒業したらこんな仕事をしてみたい。」など働くことへの意欲を支援者に語る姿など,卒業後に働くことに対して前向きな思いが高まってきている生徒の姿を確認することができた。
 しかし,その一方で,指示された内容には従いながらも漠然と作業に取り組んだり,教師の指示や支援を待ちながら作業に取り組んだりする様子が見られた。これは,生徒自身に働くことのイメージが十分に身に付いていないことが要因であると捉えた。
 今年度の実践では,高等部卒業後,企業就労を目指す生徒が所属する学習コースで,「物流サービス」を題材として取り上げた。そして,企業や市役所からの受託作業や校外への出向作業を通して,作業に取り組む必要性や作業の目的,仕事に取り組む意味などをより確かなものにしてきた。さらに,担当する作業や仕事の成果が実感できるように指導・支援を工夫することで,「自分はできる。」といった自信や「担当する作業をしっかりとやりたい。」といった仕事への意識を高め,目標に向かって,身に付けた力を発揮しながら作業に取り組もうとする姿を目指した。
 実践を通して,目の前の作業に正確に取り組もうとする姿や,良い製品を出荷しようと,繰り返し検品作業に取り組む姿が見られた。また,学年やこれまでのインターンシップなどの経験に応じて,働くことに対する自分なりの思いをもちはじめている姿が見られてきた。