子どもたちは,植物や野菜の観察に出かけると「アサガオの花が3つさいている」「トマトの赤ちゃんが帽子をかぶっているみたい」など自分なりの言葉で話すことができる。しかし,絵日記などで書くという場面においては,他者に伝わる文章を書くことが十分にできているとは言えない。
子どもたちの絵日記を見ると,文章を書く際に,次のような様子が見られる。まず,文章が続かないタイプである。話が骨だけで肉付けができない様子が見られる。次に,文章は続けられるが内容に問題があるタイプである。同じ内容が繰り返し出てきたり,出来事の羅列でおもしろみがなかったりする様子が見られる。いずれのタイプも「書く内容」をもっていても,どのように表現したらよいかがつかめていない状況であると考える。つまり,学習した「書く方法」への意識づけが弱く,子どもに定着していないのである。
そこで,子どもに書く方法のよさに気付かせ,意識させることで,書く方法を定着させていきたい。子どもは他者に伝わる文章を書き,自分の表現のよさを実感し,書くことに自信をもち,楽しさを感じながら書く方法を身に付けていくだろう。
実践は,低学年なりに説得力を増す書き方や材料整理の行い方について,教師が具体例としての文章を示し,比較させたり検討させたりする。比較・検討で得た「表現のよさ」は文を書く際に使いたい方法として子どもたちに意識させる。書いた後は発表や振り返りを行い,この表現を使ってよかったという「自分の表現のよさ」を実感させる。これらのサイクルを繰り返すことで「書く」力を身に付けさせ,自分の表現のよさを実感する子どもの姿を具現したい。
また,本研究では,国語科と生活科を関連させながらテーマに迫る。生活科との関連を図ることで,単元を貫く言語活動が子どもにとってより必然性のあるものになるようにしたい。子どもは,単元を通して豊かな体験から「伝えたい」という思いをもち,相手意識を明確にしながら内容をふくらませ,表現方法を身に付けていくだろう。