道徳の時間は、自己や個人、社会や自然とのかかわりを通して感じたことを基に道徳的価値について学び(道徳の学び)、その学びを生活の中で生かしていこうとする心の構えを育む時間であると考える。しかし、実際には1時間の道徳の時間の中で、毎回その構えを育んでいくことは難しい。そこで、道徳の時間において道徳の学びを生活に生かそうとする子どもの育成を図っていく観点から以下の2つの手立てを提案し、実践を試みた。
手立て1として、学級経営の核とする道徳的価値について、道徳の学びを深める過程に注目し、段階的に指導した。価値観を持たせること、価値観を揺らすこと、価値観を深め、広げることの3つの段階に応じた学習内容を設定し、授業を行った。
手立て2として、道徳の時間において、生活場面を意識する働きかけを行った。具体的には、ロールプレイングやモラルディスカッションを取り入れ、資料の内容をより生活場面と結びつけて考えられるようにした。
本実践を通して、学級経営の核として設定した「信頼・友情」の価値について理解し、生活に生かそうとする記述をする子どもが増加した。また、「よいところ探し」において、具体的なかかわりを基にした記述が増加した。