人間は考える葦である
南魚支部長 田中 和徳(城内小学校 S60年度)
表題は、フランスの哲学者パスカルの有名な言葉。「人間は自然の中では葦のように弱い存在である。しかし、人間は頭を使って考えることができ、考えることこそ人間に与えられた偉大な力である。」人類が絶滅の危機を乗り越えてきたのも、宇宙のかなたまで思いをはせることができるのも「考える」ことができたからである。さて、ここ数年の教育界に目を転じてみると、「生きる力」、「アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)」、「OECD Education 2030 プロジェクト」におけるコンピテンシー、「GIGAスクール構想」、「令和の日本型学校教育」、「STEAM教育」、「Society5.0」等々、数年おきに新しい教育施策等が私たちに投げかけられてくる。どの教育施策も予測できない将来の社会の変化に対応できる人間の育成に目が向けられていることは確かである。
社会は狩猟社会「Society 1.0」から農耕社会、工業社会、情報社会、次は超スマート社会「Society 5.0」へ進むという。これまで人間は何度も大きな変革を乗り越えて現代に至るわけであるが、考える葦であった人間の営みが社会を変え、そして、その社会に適応してきた歴史がある。私は、「自ら学び、自ら考える力の育成」(かつて県教委学校教育の重点にもあった)が不易の教育の目標の一つと考えている。どんなに想定外の大きな変化が起こっても、自ら変化に対応するために学び、考えれば乗り越えられるものと確信している。今年度のときわ会の基本方針は「新しい時代の教育に向け、自ら高め続ける会員一人一人を支えるときわ会」である。支部のみなさんには、様々な研修の機会を有効活用し、自ら学んで考えてもらいたい。