授業力を高めよう〜教師は授業が命〜
副支部長 小畑 一二美(三条市立裏館小学校)
子どもの学力と授業は表裏一体です。授業力の高い教師の中には、互いを尊重したり協力したりする活動を効果的に取り入れ、学力と同時に心を育てる指導を両立させるベテラン教師も多く、頼もしい限りです。授業を一分たりとも無駄にせず、一時間一時間を充実させることを、最優先にする学校でありたいものです。
さて、授業について、もう少し詳しく考えてみましょう。授業の成立には、いくつもの技術の習得が必要です。例えば、気付きや発見を引き出す「発問」は、学習活動を方向付ける重要な技術です。そして、子どもの発言に対する「応答・切り返し」で、授業の流れを変えたり、思考を活性化させたりします。また、意見を「要約」することで、話合いがわかりやすく整理されます。学習態度や意見を「賞賛・価値付け」することで、学習規律が身に付き、子どもたちの学習への意欲を高めます。学習の流れを整理する「板書」は、意見交流を促進します。新しい用語や概念を指導する時には適切な「解説・説明」が不可欠です。授業を含む学校生活全体を通しては、「指示」が明確であることと、子どもの注意を引いて夢中にさせる「話術」の巧みさも大事な技術です。
これらは、社会や教育環境の変化に影響を受けない不易の授業技術です。教師一人一人が自分の持ち味や特性に応じて磨き上げることが大切です。
ところで、本年度から県内全ての学校で、一人一台のタブレットが配備されました。子どもたちは自席でネット検索が可能になるなど、無限の可能性を秘めた新ツールを手にすることとなりました。令和三年一月の中央教育審議会答申『令和の日本型学校教育』では、ICTを最大限に活用して、「個別最適な学び(指導の個別化)(学習の個性化)」を実現するように求められています。つまり、前述した授業技術に「タブレット操作」等が新しい授業技術として必要になってくるのです。しかし、あくまでタブレットは「主体的・対話的で深い学び」を実現するための学習の道具であることを忘れてはなりません。タブレットの活用が目的にならないように留意しなくてはなりません。
新しい技術の習得は、喫緊の重要課題となり、どの学校でも職員研修を急ピッチで進めていることでしょう。学校は組織的に対応し、子どもたちがタブレットを自在に活用できるように指導する責任を果たさねばなりません。
さて、ときわ会三条支部では、会員相互が「授業づくりの力」を高め合う目的で研修同志研修を推進しています。第一回のレポートでは、ICT活用の実践も数多く報告され、会員の意識の高さが分かります。十一月の教育研究発表会も、授業力アップの絶好の機会です。ときわ会本旨の通り、「つねに厳しくみずから鍛え」授業力の高い教師を目指しましょう。