新潟北支部 支部長 高橋いずみ(葛塚小学校)
順調に平成三十年度を締めくくり、新しい元号の発表に期待を膨らませた昨年の四月。令和の時代の幕開けに心躍らせ、誰もが明るい未来の展望を描いたのではないかと思います。小学校では学習指導要領の先行実施が始まり、中学校でも新しい学習指導要領を意識した授業改善が進もうとしていました。ほぼ十年ごとの学習指導要領の改訂ですが、このたびの学習指導要領は、時代の変革のスピードに合わせ、新しい社会の形成者を作る子どもたち、新しい社会で自分らしく生き抜いていく子どもたちを育てることを目指した大きな改訂でした。これまでも社会の変化やニーズに合わせて学校に求められることが変わってきましたが、少しずつ動いてきた歯車が一気に進んだような気がしました。そして、令和2年度は、小学校では全面実施、中学校では先行実施がスタートするはずでした。ところが、全く予期せぬことが起こりました。それも、一年間のまとめをしようという大切な時期でした。全国一斉の臨時休校。耳を疑うようなニュースでした。聞き間違えたのではないかと思い、テレビの画面を再確認しました。そして、ほとんど準備もできないまま休校に入りました。学校行事の中で、最も大切にしている卒業式の実施ですら危ぶまれるほどになりました。様々な研修会も会議もことごとく中止になりました。私たち会員が大事にしてきたネットワークの築き方も見直さなければならない状況になりました。これまで当たり前だと思っていたことは、決して当たり前のことではないことを痛感させられました。今、私たちは、本当に必要なことは何なのかを見極め、枝葉をそいで幹を残し、守りつなげていくことが大切なのではないかと思います。今こそ、やらされているという受動的な構えではなく、自らこの難局を乗り越えていく熱い思いと行動力が必要だと思っています。人と人とが距離を保つことが求められているとしても、現実的な距離を保ちつつどのようにしたら心のつながりを持てるのか、切磋琢磨していくことができるのかその方法を探り、確実に推し進めていくことが重要です。消極的な姿勢からは何も生まれません。どのようにこの事態を切り拓いていくのか、何ができるのか、自ら働きかけていく能動的な営みを進めていきましょう。子どもたちには、この先どのような世の中になろうとも自分らしく生き抜いていく力を身に付けさせなければなりません。子どもたちが持つ力を眠らせておいてはならないのです。私たちに何ができるかを問い続け、今できることに挑戦し、目の前の子どもたちが未来の社会で生き生きと活躍する姿を思い描き、一人一人の成長のために最大限の力を尽くして参りましょう。