支部情報BOX

2021.08.02

新潟東支部

支部長あいさつ

「親炙」の心得をともに

                                                  支 部 長   佐々木 克己

東山の下小学校(60年度)

 東京オリンピックが、史上初の無観客で行われました。自国開催として、応援を選手のパワーにするという「地の利」を生かすことはできませんでしたが、選手はむしろ試合に集中することでゲームパフォーマンスを落とすことなく全力で立ち向かいました。そして画面越しに映し出されたその直向きな姿から、私たちは数々の感動を味わうことができました。どんな環境に置かれても状況を的確に判断し、最善を尽くす。今、 私たちに求められていることと同じです。

 さて、題字に記されている「親炙(しんしゃ)」について少し触れたいと思います。新潟東支部が誕生したのは平成18年度。全県支部の再編により、当時の山の下支部と江東・東部支部の一部が統合されました。発足に向け準備を進めていく過程で、会員同士の融和を意図的に図っていくことを大切にしようという意見が各校から出されました。そこで、広報委員会が年度末を待たずに会員の顔とともに人柄も伝わる会員誌を作成したのです。創刊誌は「ひがし」と記されていましたが、その後、会員から公募し、第3号から「親炙」になりました。

 由来は、孟子の言葉からきていて、「親」は、親しみ近づくこと。「炙」は、肉をあぶって焼くことから転じて感化を受けること。つまり、その人に近づき、親しんで、直接教えを受けることを意味しており、新潟東支部の会員同士が、謙虚な心で切磋琢磨し合い、互いに向上する支部にしていこうという願いが込められています。

 初代支部長であった牛腸信夫先生は、発刊号の巻頭言で、当時の様子をこのように述べられています。

 「‥教師への要求は年々厳しくなっている。‥中略‥。これほどまで努力しているのに、どうして信頼してもらえないのだろうか、分かろうとしないのだろうかと腹立たしく思うことさえあるだろう。しかし憤慨しているだけでは、問題は解決しない。保護者、地域からの信頼は、他でもない私たち自らの手で培っていかなければならない。授業力とともに子どもにきちんと寄り添える心を身に付け、子どもや保護者に信頼されることが肝要で、信頼される教師が、信頼される学校を作っていくのだ。」

 支部の誕生から15年が経過しました。この間、学校を取り巻く環境は確実に変わってきています。

 私たちが教師としての力量を高めることができるのは、「人に学ぶ」ことと「人と学ぶ」ことです。書籍でハウツウを集めるよりも、独りよがりの研究よりも、血の通った自分の実践を互いに突き合わせ、意見を交わすことの方が何倍も価値があります。当支部には各分野のスペシャリストが数多くいます。新型コロナ禍のため集まって学ぶことは依然制約されますが、機会をとらえて、ぜひ話を聞いてみたい人の門を叩いてください。「親炙」の心得をもつ人は必ず応えてくれます。学ぶ気持ちのある先生の力量を大いに伸ばす、そんな支部活動を進めます。