本研究では,生徒の表現力を高めることを目指し,対話を促す手立てを講じた鑑賞活動の場面を各制作過程に設定して制作意欲と表現力に差が見られる生徒を抽出し,研究仮説と手立ての有効性を検証する。生徒が自分の作品にのみ目を向けるのではなく,対話のある鑑賞を行う中で,他者の発想から学んだり構想について新しいアイディアを得たりする場面を設ける(相互鑑賞)。また,学習の中心となる考えを明確にするために,生徒が自分の考えの変化や他者から学んだことを実感しやすくする(比較鑑賞)。このように,他者から学ぶ場面と自分の思考を振り返る場面を意図的に設け,制作過程に表現と鑑賞を織り交ぜることで,発想や構想と鑑賞に関する資質・能力が総合的に働く学習になるであろうと考えた。