“競技を問わず、ケガなく身体の持てる力を最大限に発揮し、日々の練習や競技に取り組むことが求められる。しかしながら競技者である以上、ケガは避けては通れないものであり、とりわけ陸上競技は動きがシンプルであることから、局所的な故障が生じやすい競技であるといえる。では、ケガなく身体の持てる力を最大限に発揮できる身体づくりはどのようにあればよいのか?前任校(鳥屋野中学校)での出来事…。
2011年6月。まもなく地区大会を迎えようとする頃。400mで全国上位を狙う男子生徒が右脚を引きずって登校してきた。聴けば朝起きたときは全く痛みはなく、普通に生活していたが、登校途中、ふくらはぎが痛み出したとのこと。早急に母親を呼び、医師への受診をお願いする。最初の診断名は「肉離れ」。朝起きたときは普通に生活し、痛みはなかったことを告げると医師は首をひねったが、椎間板ヘルニアの疑いもあったため、腰回りのレントゲンを撮影。椎間板には問題は認められなかったが、たまたま写り込んだ右大腿骨骨頭のやや下の部分に亀裂が認められた。
忘れることのできない大けが。時間をかけたウォーミングアップ、週2日の休養日、練習量のコントロールにも自信があった。何が間違っていたのか、何が足りなかったのか、さっぱり分からなかった。何よりも、ふくらはぎの痛みの原因は「大腿骨の亀裂骨折」としか考えられなかった。大変なショックを覚えた。痛みや筋の張りを治したりケアをするだけでなく痛まないように予防したり、更にはそこからパフォーマンスを上げて、その生徒にとってより快適な身体活動が送れる身体を作っていくにはどのようにすればよいのかを試行錯誤するようになった出来事である。 本発表を通じて、自分がどういった方向や手順で身体づくりを進めているのか,様々な手法を今までも行ってきたが、現在行っているものをここに顕在化し紹介したい。
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