よりよい人間関係をつくるには、友達の考えに共感する能力が大切です。共感する能力は、友達の考えを理解しようとしたり、友達の考えに寄り添おうとしたりする態度から養われていくと考えます。自分の考えを自由に言い合う集団をつくるだけでは、活動内容を決定するだけの話合いになることがあり、活動中や活動後も対立が続くことがあります。特に低学年児童は、話合いの経験が少ないため、活動内容だけに目が向きがちです。
学級会の目的は、自分たちが大切にすることを決定することです。自分や友達が大切にしたいと考えていることを伝え合うことで、自他の考え方を客観的に捉えたり、学級集団として大切にすべきことに気付いたりすることができるようになります。
また、活動後の振り返りでは、楽しかったかどうかという情意面だけでなく、学級集団が大切にすべき姿に近付くために、自分たちが選択した活動が適切であったかどうかを考える視点をもたせることが大切です。そして、その振り返りを学級全体で共有することで、友達の考えを理解できるようになります。特に低学年児童の場合は、振り返りの視点を教師が意図的に限定することも大切です。
そこで、本研究では、低学年の児童に対して、自分たちが大切にしたいことについて話し合う学級会を設定し、教師が話合いの中で論点を整理したり、活動の振り返りの視点を意図的に限定したりして、低学年児童が友達の考えに共感したり、学級集団が大切にすべきことに気付いたりする実践を行いました。