教育データベース

2019.03.12

小学校

社会

平成30年度

子どもが追究意欲を持ち課題解決に向かう指導の工夫

新潟市立立仏小学校 鎌野 雄大

 社会科における歴史学習は、児童にとって身近な生活との関連が薄く、興味や関心をもって考えにくい面があります。児童が追究意欲をもち、課題解決に向けて学習に取り組めるようにするには工夫が必要です。そこで、写真や絵等の資料を比較したり、資料の見せ方を工夫したりして、課題意識をもつことができるようにしました。導入から学習課題設定までに絞り、講じた手だてを紹介します。
1 資料から読み取れる事実を確実に押さえ、そこから分かることを考えさせる。
 6年生の社会科「アジア・太平洋に広がる戦争」について学習しました。始めに、資料1「日本とアメリカの国力のちがい」のグラフを段階的に提示しました。「グラフが何を表しているか」を尋ね、日本を1としたときのアメリカの生産量を表していることを児童に押さえさせました。航空機、船舶、鉄鋼、銅、セメントなどを比較して読み取らせ、使用目的を考えさせました。児童は、「武器をつくることに使う」「飛行機や戦艦をつくることに使う」など、当時の時代背景から戦争との関連で考えていました。次に、資料2「日本における石油・鉄のアメリカ依存度」を提示しました。資料1と同様のやり方で児童に読み取らせ、石油77%、鉄70%をアメリカに依存していることを押さえさせました。さらに、「2つの資料から言えることは何か」を児童に考えさせました。「アメリカとの国力に大きな差がある」「石油も鉄もほとんどアメリカを頼っている」ことを押さえました。さらに、「自分が日本の指導者ならアメリカと戦争をするか」と尋ねると、「国力に差があり過ぎて勝ち目がない」「石油も鉄もアメリカに頼っているから、もらえなくなると困る」と考える児童が多数出ました。
2 課題設定につなげる資料提示をする。
 資料3「日本軍の攻撃を受けた真珠湾のアメリカ艦隊」を提示しました。すると、「えっ?」「無謀だ!」「何で?」という児童のつぶやきが聞かれました。そこで、詳しく説明するよう児童に促すと、「国力に差があるのに、何で日本が攻撃したのか」という疑問が生まれました。そこから、学習課題「国力に差があるのに、アメリカと戦争を始めたのはどうしてだろうか」を設定しました。
 今回設定した学習課題について、児童がアメリカの石油禁輸についての情報を見付けたり、戦争が太平洋まで広がり戦況が不利になったことを調べたりして、考えることができました。資料を読み取らせたり、課題設定につなげたりする発問についても合わせて更に実践を重ねて、研究を進めていきます。