新学習指導要領体育編において、「運動についての課題の解決に向けて、児童が他者との対話を通して、自己の思考を広げ深めていく学びの過程、自他の運動についての課題の解決を目指して、協働的な学習を重視すること」が求められています。
自身のこれまでの実践を振り返ると、「作戦タイムでゲームを振り返る」「タブレットで自分や仲間の動きを見合う・振り返る」「仲間同士で動きのよい点・直した方がよい点を伝え合う」など、他者との対話を通して技能の向上を図ろうとしてきました。しかし、それが一人一人の深い学び(分かる・できる)に繋がっていないという課題がありました。そこで私は、運動のポイントを押さえ、自己や他者の暗黙知を交流する「対話ボード・シート」を活用し、自己-他者-運動を対話で繋ぎ、より深い学びを促すことを目指し、実践を行いました。
「対話ボード・シート」の活用によって、①シートを介して技や動きのポイントだけでなく、動きのコツや感覚を可視化・言語化することができ、技や技能の習得の一助となりました。②技能が身に付いている子にとっては、「感覚的にできる」から、「自分の動きを意識してできる」ための手だてとなり、技能が身に付いていない子にとっては「動きのポイントだけでは捉えられない、コツや感覚を身に付ける」手だてになりました。一方で、運動量の確保や技能の高い児童にとっての活用方法、また、対話シートだけでは自分の動きを客観的に見取ることができないという面で課題が残りました。
今後は、対話ボード・シートの形式や活用方法を他の単元でも再検討し、その有効性を探っていきたいと考えます。