新学習指導要領では、総合的な学習の時間の目標の一つを「実社会や実生活の中から問いを見いだし、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現できることができるようにする。」としています。自身もこれまで、児童にとって身近な地域の事象や人を学習対象とし、探究的な学習過程を大切にすることで、児童に主体的な追求活動をさせることに取り組んできました。しかし、探究的な学習過程が、長期間に渡るものであったり、活動が異なる複数サイクルであったりしたために、単元当初に設定された課題とそれを基にした活動の方向性が十分に焦点化されないまま活動が進み、「まとめ・表現」に至ってしまうこともありました。これは、単元を進める中で児童の課題意識を高められなかったことに原因があると考えます。
そこで、本研究では以下の三つの手だてにより、児童が課題意識を高め、課題解決の方向を十分に焦点化しながら活動する姿の実現を目指しました。
1 身近な「地域に貢献する人々」に出会わせその思いや願いに触れさせるとともに、その人々の日常的な活動の場に参加しながら単元を通して活動を共にする。
2 前出1において「①課題の設定」「②情報の収集」「③整理・分析」「④まとめ・表現」という探究的な学習過程を繰り返す。
3 前出2の「④まとめ・表現」の活動を多方向から評価する場面を設ける。そしてその評価を次の学習過程の「①課題の設定」へと結び付けることで、探究的な学習過程をつなぐ。
本研究では、地域の人々が運営する「放課後ふれあいスクール」に継続的に関わり、その活動に児童がスタッフとして関わることを「④まとめ・発表」とする学習過程を4サイクルで行いました。
その結果、同じ活動において同じ学習過程を繰り返す単元構成により、前サイクルの「④まとめ・表現」に対する評価が次サイクルの「①課題の設定」において課題を焦点化することにつながりました。そして四つの探究的な学習過程が連続性をもち、児童は単元を通して課題意識を高め、主体的に課題解決の方向を焦点化しながら活動することができました。