教育データベース

2019.03.12

中学校

算数・数学

新潟

平成30年度

「対話」を通して理解を深める生徒の育成

新潟市立白新中学校 藤田 夏樹

 昨年度、勤務校の生徒に実施したアンケートの結果、学年が上がるごとに話し合う活動が好きな生徒が減少傾向にあることが分かりました。その背景には、わたしのこれまでの指導で、話合いの場面を設定しても、深まりのある充実した活動になっていなかったことが考えられます。
 このような実態を受け、本研究では、<対象との対話><仲間との対話><自分との対話>の3つの「対話」を授業の中に位置付けることにしました。<対象との対話>とは、導入場面で学習課題を基に、学習する対象を理解し、自分の考えをもつことです。<仲間との対話>とは、学習課題を追求する場面で互いの考えを伝え合うことです。<自分との対話>とは、終末の場面で自分の学びを振り返ることです。対話に際しては、ICTを活用して事象や生徒の考えを可視化することで対話が促進され、深まるようにしました。それによって、生徒が学習内容の理解を深め、仲間と関わることのよさを実感できるようにしました。
 実践の検証として、質問紙により実践前後の生徒の変容を分析した結果、手だてにより「イメージしやすかった」「自信が付いて積極的に発言できた」ことで、「いつもより相手に分かりやすく説明することができた」という記述がありました。また、これまでの授業では、分かる生徒が分からない生徒に教えるだけの班活動になっていたものが、本実践では、生徒が「対話」を通して、別の考え方があることに気付いたり、自分の考えを修正したりしていました。こうした姿から、生徒は「対話」を通して理解を深めることができたと考えます。
 さらに、アンケートでは「話し合うことが好き」に対する肯定的な回答の割合が、実践の前後で20%以上増える結果となりました。このことから、本実践で生徒は仲間と関わることのよさを実感できたと考えます。
<参考文献>神林信之 風間寛司 星野将直 井口浩 小嶋修 渡部智和『教えたくなる数学 学びたくなる数学』.考古堂.2012.