教育データベース

2019.03.11

中学校

音楽

中越

平成30年度

鑑賞と創作の一体化を目指した授業づくり

燕市立燕中学校 早川 克善

 平成20年に施行された学習指導要領の中学校音楽科では、表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で必要となる共通事項が新設され、これにより、「表現」と「鑑賞」の一体化を図った指導が求められるようになりました。平成29年3月に公示された新学習指導要領でも、同様の趣旨で共通事項は位置付けられており、音楽の構造についても、表現活動と関連付けながら学習することが求められています。
 そこで、表現活動の中の創作によって、旋律など音楽を形作っている要素についての構成上の特徴を理解し、それらと関連付けながら鑑賞活動することで、音楽に対する理解を一層深めることができると考え、二つの授業実践を行いました。
1 「小フーガト短調」での創作活動
 小フーガを1時間目で鑑賞した後に、創作教材である「動機を生かした旋律をつくろう」を、楽譜作成ソフト「MuseScorePortable」を活用して行いました。バッハが多くの楽曲で用いている主題の模倣、反復、逆行、反行、縮小、拡大を、創作活動を通して理解を図りました。創作活動後、再度小フーガを鑑賞し、曲の聴き方がどのように進歩(進化)したのかを考える時間を設定しました。振り返りシートでは、多くの生徒が「主題を意識することができた」「音の高さの変化に着目しながら聴けるようになった」などと記入し、創作活動前後での変容が見られました。
2 「シェエラザード」での創作活動
 1時間目は、リストとリヒャルトシュトラウスの交響詩を比較鑑賞し、交響詩における標題と音楽の諸要素の関係を理解することを授業のねらいとしました。それに続く創作活動では、与えられた標題(表題)をもとに、8小節(2拍子で1小節に1つのコードを置く)の旋律を、楽曲作成ソフト「Domino」を使用して作成しました。生徒アンケート結果によると、その後の鑑賞では、以前より興味をもった状態でシェエラザードを聴くことができましたが、創作活動での経験を鑑賞に生かすことができた生徒は、50%程度であったため、課題提示の工夫を今後研究していきます。