子どもは、理科の法則を見付ける過程を経験しただけでは不十分であり、学んだことを自分の言葉で表現する経験をしなければ、知の定着が十分図られないのではないかと考えました。
そこで、本研究は、直接、教師が指導しにくい家庭学習という学習場面において、意欲的で質の高い学習をどう具現するか、授業とその家庭学習をどうやってつなげていけばよいかを考え実践したものです。
次の三つの手だてを講じました。
1 理科の授業で学んだことを家庭学習の場で再構成する「理科レポート」の指導
理科の学習で学んだことを自分の言葉でまとめるA4判1枚のレポート用紙にしました。子どもがよいレポートのイメージと書く見通しがもてるように、レポートの形式を具体的に示したり、レポートにコメントを入れ、励ましたりしながら評価し、よいレポートや成長した子どものレポートを取り上げ、全員に紹介しました。
2 家庭学習とつなぐ授業の工夫
子どもが意欲的に「理科レポート」に取り組むためには、子どもにとって分かりやすい授業、レポートを書く見通しがもてる授業を工夫することが必要です。また、子どもの書いたレポートの内容が、次の授業に活かされるような場面をつくることも大切です。このことが、日々の授業への意欲の向上にもつながり、相乗効果を生むと考えます。そのために、授業において、レポートの構成を意識した授業の流れとしました。そして、レポートに書かれた子どもの疑問を取り上げ、授業に活かすようにしました。
3 単元を通したまとめの仕方の工夫
レポートを見返したり、つながりを考えたりできるような単元のまとめに取り組ませるようにしました。また、レポートをそのまま書き写せないようなリーフレット形式にし、学習内容を再構成できるように工夫しました。
その結果、子どもの家庭学習や授業への意欲の向上、市販テストの成績の向上など、知の定着についても成果が見られました。