児童が表現の途中で、課題にぶつかり表現が停滞してしまう「つまずき」の状態になることがあります。例えば「何を表現したらよいか分からない」「どうやって表現したらよいか分からない」「ここから先どのように改善していけばよいか分からない」等です。
そのような状態を「児童が課題をもっている状態」と捉え、その課題を児童が主体的に乗り越えていけるような支援を行っていきたいと考えました。そこで、児童がもつ課題に寄り添うためのワークシートを活用した個別指導、さらに表現途中での相互鑑賞を取り入れた実践を行い、その効果を検証していくことにしました。
1 「振り返りシート」による児童の困り感に寄り添った個別指導
毎時間児童に「振り返りシート」で今日の表現についての感想やうまくいったこと、困っていること等を記述させました。教師は児童の状況を把握しコメントによってアドバイス、励まし、称賛を継続しました。また、児童の表現過程を把握し、次時の授業の目標設定や課題解決に生かしました。
2 相互鑑賞、記録の蓄積
他者との交流による相互鑑賞として児童が表現過程で鑑賞し合い、「よさ」についての評価や「アドバイス」を付箋で記入し交換し合えるようにしました。その後、自身の構想の見直しや今後の表現の工夫に反映できるようにし、またそれらの記録をポートフォリオとして蓄積して、変容や成長を教師や児童自身が確認できるようにしました。
振り返りシートを活用することにより、児童の表現における進捗状況やつまずきを把握することができました。教師は児童の状況に応じてコメントによるアドバイスや直接の声掛けを行い、より多くの児童に助言をすることができました。振り返りシートによる自己評価と教師のコメントによるアドバイスの継続により、多くの児童が最初の構想(アイディアスケッチ)から改善を重ねることができました。また相互鑑賞を通して、更に改良したり付け足したりするとよいところを明確にし、意欲的に工夫を重ねていく児童の姿が見られました。