次期学習指導要領において「知識及び技能」に、「共通、相違」「原因と結果」等、「情報と情報との関係」などの「情報の整理の仕方」に関する項目が立てられました。これまでの子どもの様子では、人物、出来事・事件や結末など物語の構成要素は知っているのですが、それらを活用した読みができていないことに加え、登場人物と自己を重ね合わせて共感して読む経験をさせていないことから、思いをもって作品を読む子どもも多くはありませんでした。物語の構成要素を活用した本の読み方を獲得し、作品の方向性を自ら見いだして、自分が共感できる話や登場人物を見付ける力と態度を子どもたちに付けたいと願いました。
本研究では次の二つを研究内容としました。
(1) 方向性が同じ作品からの選書によって比べ読みをする活動の組織
これまでの比べ読みに見られるシリーズ作品や、同一作者の作品でなく、方向性が同じ作品からの選書によって比べ読みをする活動を行います。このことにより、読書を通してそれぞれの本から読み取ったことについて登場人物同士、登場人物と自分とを重ね、共感しながら読むことで、より豊かな読みにつなげる姿を期待しました。
(2) 自分で選書した作品の比べ読みによって「マイコレクション」を作る活動の組織
方向性が同じ作品の中から子どもが自ら選書し、「登場人物」「始めと終わり」「きっかけになる出来事」の観点に照らして共通点を探します。見付けた共通点から「○○なお話」とタイトルを付けた「マイコレクション」を作る活動を組織します。このことにより、選んだ作品が自分にとってどのような意味をもったのか、自分が最も共感できる作品の方向性を自覚し、シリーズや同一作者以外の本の選び方や読み方を獲得する姿を期待しました。
今後は、子どもが主体的に読み取り、学んで表現したことを交流し合い、自己の学びに還るような学習の工夫をしていきます。