新学習指導要領では、見通しをもって観察や実験を行い、科学的に探求する学習活動の充実を図るなど指導の改善が求められています。生徒の実態より、観察や実験には意欲的に参加できるが、根拠に基づいた予想や説明などは苦手という課題が見えてきました。
そこで、生徒が根拠のある予想を行い実験計画を立案し、課題解決に取り組む授業を展開することで、生徒の科学的思考力の育成を目指しました。2年生では、決まった回路で電流や電圧を測定する実験が多い「電流のはたらき」でⅠ、Ⅱに、また3年生では教師主導の授業になりがちな「天体の満ち欠け」で実践Ⅲに取り組みました。
次に本研究における手だてを示します。
1 課題設定の工夫
① 実践Ⅰ「豆電球の明るさは、何によって変わるのだろうか」
② 実践Ⅱ「扇風機の風力が変わるしくみを考え、説明しよう」
③ 実践Ⅲ「金星の満ち欠けの特徴を実験で証明しよう」
2 根拠ある予想、実験計画立案のための手だて
① 学習履歴カードの活用
既習事項を「学習履歴カード」としてまとめ、予想や実験計画立案、考察時に根拠として利用します。
② ヒントカードの活用
これまでの学習に基づいた内容をヒントとし、予想や実験計画立案、考察時に提示します。
3 根拠ある考察のための手だて
思考の交流をねらいファシリテーションの手法を活用しました。考え方が同じまたは異なる班同士で交流を行うなど、授業のねらいに合わせて取組方を工夫しました。
今回の研究から得られた課題を改善した上で、更に様々な単元で生徒の科学的思考力の育成を目指した研究に取り組んでいきたいと考えています。
< 引用,参考文献 >
「中学校学習指導要領解説 理科編」(文部科学省) 2017.3