自分の意見とその根拠を明確にして文章に表すことは、これから先とても大切な力となっていくと考えています。しかし、意見はもてるが、その根拠を具体的に表すことができない児童は多いです。
そこで、自分の意見(主張)をはっきりともち、それを支える根拠となるものを資料等から見付けたりまとめたりする力を育てていく必要があると考えました。そのために、どのような単元を構成していけばよいのか、自分の考えと資料等から得た情報を結び付けて書くことを支えるワークシートは、どのような形がよいのかを明らかにしたいと考え、実践を行いました。
本実践での具体的な手立ては、以下の2点です。
1 オーセンティック・ラーニングに依拠した観点を取り入れた単元構成
「オーセンティック・ラーニング」とは、「本物の、意味ある活動をしたとき、本当に学ぶことができる」という考え方であり、「状況・文脈のある課題、児童にとって意味ある課題を設定することで、より深く学ぶことができる」という考え方に基づくものです。その考えを取り入れて単元構成を行うことで、児童が意欲的に、より深く学ぶことができるのではないかと考えました。
2 思考を整理するためのワークシートの作成・活用
「何を、どのような順序で書けばよいのか」を明確にすることと、「意見文を書くことにつながること」を大切にしたワークシートを作成しました。児童が、何を書けばよいのかが分かるように、単元の最初では、書き出しの言葉を明記しておき、単元を追うごとに明記する言葉を減らし、自分で考えて書くようにしました。
本実践を通して、単元を通して意欲的に書く児童の姿が見られ、意見と根拠をつなげて書くことへの意識の高まりが見られました。しかし、根拠の部分が、事実のみの羅列になり自分の考えが明記されない等、得た情報を自分の考えと結びつけて書くまでには至らない様子が見られました。根拠の書き方に絞り、今後も実践を行っていきたいと思います。
〈参考文献〉
・兵庫教育大学教育実践学論集第16号 2015年3月 pp.139-147「オーセンティック・ラーニングに依拠した理科授業が科学・理科学習態度に与える効果-小学校第5学年理科『天気の変化』を事例として-」小川博士、松本伸示、桑原不二朗、平田豊誠
・フレッド・M・ニューマン 訳者:渡部竜也 堀田論『真正の学び/学力ー質の高い知をめぐる学校再建』春風社(2006)