教育データベース

2018.11.09

小学校

体育・保健

下越

平成30年度

子どもが自ら運動の行い方を発見していく体育授業

新潟市立万代長嶺小学校 鈴木 健太郎

 私は、子どもが自分の体の動きについて何がよくなかったのかを考え、試しながら新たな知識と技能を獲得する体育授業を実践したいと考えている。なぜなら、この体育授業を繰り返した子どもは、今後、様々な運動をする際に、自分の体に目を向け、動きの課題を解決しようと試行錯誤しながら上達していくことができるようになるからである。このことこそ、生涯スポーツに必要な資質だと考えている。
 そこで、単元で目指す姿を意識させたうえで、授業の課題設定と解決過程の二つの場面で動画視聴を基に思考させる学習過程を構成した。子どもは問いを持ち、その解決方法を見付けることができ、分かったことを意識して運動することができるのではないかと考え、本実践に取り組んだ。なお、動画内容は次の通りであり、見る視点を与えて視聴させる。
学習課題成立場面・・・単元で目指す姿(ゴール)に至っていない前時の不十分な動きが発見できる「問題と出合う映像」
解決場面・・・解決に至らない要因が分かる「問題に気付く映像」と解決に必要な姿・動きが発見できる「行い方を発見する映像」
 このように、2段階で動画視聴する学習過程の工夫で授業を行うと、子どもは自ら運動の行い方を発見し、分かったことを意識して運動し、技能を高めることができるだろうと考えた。
1 学習過程の工夫の有効性の検証(実践1年次)
 5年生、キャッチバレーボールの授業において、学習過程の工夫が有効であるかを分析した。学習課題成立過程で「問題と出合う映像」を基に話し合わせたことで問題点が明確になり、解決過程で「問題に気付く映像」と「行い方を発見する映像」を基に運動の行い方について思考させたことにより、分かったことを意識して運動し、技能を高めたと考える。しかし、運動の行い方を分かっても技能発揮できない子にはあまり有効ではなかった。そのため、「問題に気付く映像」と「行い方を発見する映像」を基に思考させた後に、分かったことをできるようにする手だてを講じる必要があると考えた。
2 学習過程の工夫に分かったことをできるようにする手だてを講じた(実践2年次)
 2年次は、6年生ハードル走で、実践1と同様な学習過程で授業を行った。また、解決場面で動画を基に思考させた後に、分かったことをできるようにする手だてを講じることを加えた。1年次と同様に、子どもが学習課題を生み出し、運動の行い方を発見し、その行い方を意識して運動することができた。また、技能を高めることもできた。
3 成果と課題
 学習過程を工夫した授業は、子どもが課題や解決となる運動の行い方を発見し、その行い方を意識して運動し、技能を高めることができた。学習過程の工夫が有効であったといえる。さらに、分かっていてもできない子に対して、分かったことをできるようにする手だてを講じることでできるようになることも分かった。今後も、他の種目で実践を積み重ね、子どもが自ら運動の行い方を発見する、課題解決できる子どもへの育成をしていきたい。

<参考文献>
「アクティブ・ラーニング実践の手引き」/田中博之 教育開発研究所