教育データベース

2018.11.09

小学校

外国語活動・英語

中越

平成30年度

小学校段階における「書くこと」領域の指導のあり方について

見附市立上北谷小学校 山口 和之

 新学習指導要領では、外国語科が教科化される。これまで私は、音声で慣れ親しんだ語句について、単元終末部に書く活動を設定してきた。しかし、それでは、文字を書きたいという児童の学習意欲は継続しないという課題を抱えてきた。そこで私は、バックワードデザインにより単元構成を工夫することで、目的意識をもちながら英語を書き、自分の気持ちや考えを伝えることができる児童の育成を目指した。
1 手だての有効性の検証(研究1年次)
 単元構成の中に、段階的に書く活動を位置付け、実践を行った。私が実践した「書くこと」の段階的指導とは、次のとおりである。
 ①コミュニケーションを図るために必要な語句や表現について、音声で十分に【慣れ親しむ】。
 ②アルファベットの活字体を【書く】。
 ③最終的な活動で児童一人一人が使用したいと考える語句を【なぞり書き】する。
 ④例文を参考に、自分の気持ちや考えの単語を【書き写し】する。
 これらの「書くこと」の活動が、単元の中に段階的に設定されることで、児童は自分の考えや気持ちを書いて伝えようという目的意識を常にもち、学習を深めていく姿が見られた。
2 手だての有効性の検証(研究2年次)
 当校に勤務するALTの母国の小学校に、自己紹介の手紙を送る活動を単元に取り入れ、実践を行った。1年次の手だてに加え、2年次の研究では、特に英語特有の語順やきまりを気付かせるための手だてを導入した。視覚的支援を中核とした指導を行うことで、主語や動詞、目的語・補語といった文法用語を用いなくても、日本語と英語の語順の違いに気付く児童の姿が見られた。授業後のアンケートを分析すると、100%の児童が語順の違いに気付くことができた。また、ALTの母国の小学生に、自身のことを伝えようと目的意識をもって英語を書いたと答える児童も100%であった。
3 成果と課題
 本研究で、導入した手だては、児童が目的意識をもって自分の気持ちや考えを書く上で、有効であると立証できた。段階的に書く活動を設定し、英語特有の語順やきまりを指導する場面を設定することで、児童は確かに目的意識をもって学習を深めていた。しかし、自分の考えや気持ちを伝えるコミュニケーション手段として、小学校段階における「書くこと」の指導のあり方は、研究例も少なく、未知なる部分が大きい。今後も4技能との系統性を意識しながら、目的意識をもって自分の気持ちや考えを伝えることができる児童の育成を目指していきたい。