課題
H29年度全国学力・学習状況調査(児童質問紙)で肯定的評価の児童を見ると「外国人と友達になりたい、外国をより知りたい」で70%、「外国へ留学、国際的な仕事に就きたい」で33%であった。この乖離は興味・関心と4技能活用の差であると考える。その確実な指導はどうあれば良いかが問題意識となった。また私は配布教材を用い、指導計画どおりに実践をしてきた。学習調査結果の肯定的評価では「外国語科の学習は好き」83%、「関わり合いを通した学習が好き」97%だった。否定的評価児童(17%)に理由を聞くと、「教科書だけだと飽きる、言われたことならできる、一人だと間違いそうで怖い、正確に言えるか不安、聞くだけだと忘れる、読む方が好き、書いた方が覚えやすい」との回答を得た。ここに、児童が学習の主体者でない、学習に魅力や見通しをもてない、正確な英語を用いたい等、児童の切実な思いを感じた。また、「振り返り」の仕方にも課題を感じた。過去にも振り返りカードを用いたが、観点が曖昧で目的は教師の評価のためであった。児童が自己の変容や次の活動への意欲となるようなものに改善する必要を感じた。
構想
そこで本研究では、①単元末に魅力的なゴールを設定し、②そこに至る過程で効果的に4技能に触れる単元を構成し、③自己の変容を実感できる「振り返り」の活動を設ければ、児童は主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする意欲が高まるだろうと考え、次の3点の手だてを講じた。
手だて1
毎時間の導入時に行うTeacher talkを単元のゴールのモデルや理想的な発表者のモデルとして提示し、単元全体の学習に魅力と見通しをもたせる。
手だて2
単元構成に4技能(聞く→読む→話す→書く)の活動を効果的に配置する。
手だて3
自己の変容や成長を実感できるような「振り返り」を行う。
成果と課題
以上の手だてを6年生「Turn left」「My Summer Vacation」の二つで実践した。ゴールの活動が多くの児童にとって魅力的であると認識され、Teacher talkをモデルに4技能に触れる活動に取り組み、肯定的な自他評価を行えば、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする意欲が高まることが分かった。一方で、”魅力的なゴール”の定義と個々の児童の認識にはズレがある点と、2実践のみで仮説を検証したり結論付けたりするには記録が不足していた点の2点は、授業者として上手く整理できず、課題が残る。外国語科の指導では特に、日々の信頼関係の基盤の上に成立すると感じた。担任としての魅力があるかどうかを、常に自ら厳しく問い続けていきたい。