教育データベース

2018.11.09

小学校

社会

中越

平成30年度

社会的な見方・考え方を育む教師の「問いかけ」(問い返し)や「資料の工夫」

魚沼市立小出小学校 清塚 大暁

 新学習指導要領解説社会科の目標は、「社会的な見方・考え方を働かせ、課題を追究したり解決したりする活動を通して、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す」である。
 この目標に照らして、私の授業を振り返ってみると、問題解決的な学習で資料を読み取る活動や子どもとともに「問い」をつくることは意識して行ってきたが、社会的な見方・考え方の育成を意識するものではなかった。また、社会的事象について考えたことを他者に伝え合う活動では、社会的事象を多面的に見る視点が少なかったため互いの思考の深まりが弱いと感じた。
 そこで、本研究では、社会的な見方・考え方を育むために、問題解決的な学習の中で、社会的事象を多面的に考察できるような「問いかけ」(問い返し)や「資料の工夫」を大切にした授業づくりを試みることとした。(子どもの発言の変化や振り返りの記述から見取る)
①社会的な見方・考え方に迫る問いかけ(問い返し)
 子どもの思考が働くように意図的に問いかけ(問い返し)をすることで、初めの見方から、再考し、考えを修正したり、深化させたりすることができると考える。そのために、子どもの認識や考えに「問いかけ」(問い返し)を行い、視点を与えながら追究していくことで、社会的事象に対し多様な見方ができるようにする。
②関係付けて考える資料の工夫
 実践1、2【3年 働く人とわたしたち】では、子どもの認識と関連付けられるように、見学や体験の際に見落としていた事象を資料として活用する。実践3【6年 新しい学問と文化】では、時代背景に迫られるように、時代の特色、人や物の動きがイメージできるような視覚的に分かりやすいビジュアル資料を自作加工して複数活用する。
 本研究において、授業の最初は1つの視点を基に考えていた子に対し、その子どもの思考を揺れ動かす問いかけ(問い返し)をしたり、自らの認識と関連付けられる資料を活用したりすることで、新たな視点をもとに、自分の考えを再考できた。授業の終末では多様な見方ができるようになった。解釈の仕方の一面性や弱さなどに気付かせ、新たな視点を得ることができ、社会的事象について深く追究することができた。
<参考文献>
「見方・考え方を身につける授業ナビゲート」北俊夫 明治図書 2017
「資質・能力と学びのメカニズム」奈須正裕 東洋館出版社 2017