「特別の教科 道徳」のキーワードは、「多面的・多角的」である。この言葉は、道徳科授業の発問や評価の観点としても重視されている。そこで、私はテーマ発問を授業の中で意図的に取り入れた。①導入場面で道徳的価値に対するイメージを共有する問い②教材を通して児童間の道徳的価値に対するイメージにズレを生む問い③道徳的価値に対するイメージを見つめ直すことを促す問いの3点である。
1 手だての有効性の検証
①自分の考えをもつためのベースとなった。授業で何を考えればよいのかが明確になり、このイメージを基に考えの変容を実感していた。
②「本当にそうか」「他にはないか」という問いを生み、追求意欲を高めていた。また、道徳的価値には多様な側面があることに気付いた。
③教材文の中心となっている道徳的価値について吟味していた。また、既にもつ道徳的価値観を揺さぶり、様々な見方や考え方を獲得した。
2 成果と課題
本研究で、導入した手だて3点は多面的・多角的思考を促す上で有効であると立証できた。今後、他の内容項目の授業でも実践していく。また、児童の多面的・多角的思考を促すためにはどのような働きかけが有効なのかを更に追求していく。
<参考文献>
『これからの道徳教育で特に求められること―道徳教育の改善と充実―』新潟県立教育センター平成29年度豊かな心を育む道徳教育講座 講話・演習用補助資料/永田繁雄
『学習指導要領解説 特別の教科 道徳編』/文部科学省
小学生白書Web版『小学生の生活・学習・人間関係等に関する調査』/学研教育総合研究所