教育データベース

2018.11.09

小学校

理科

中越

平成30年度

多様な気付きを促し問題を見いだす子どもを育む理科指導

長岡市立阪之上小学校 坂井 一

 新学習指導要領4年理科では、関係付ける考え方を使って根拠のある予想や仮説を発想する力を育てることを目指している。そのため、事象の因果関係を子ども自身で発見できるような手だてを講じ続ければ、児童は根拠のある予想を立て追究し続けるであろうと考えた。そこで本実践では、ペットボトルロケット(以下、PBR)を用いる。空気と水の性質を学習しながら、PBRを遠くに飛ばす方法を探していくことで、空気と水の性質を関係付け、根拠のある予想や仮説を立てることができると考え、本実践を行った。

手だて1 単元を通した追究課題の設定
 PBRをより遠くに飛ばす方法を考えることを、単元を通した追究課題とする。PBRは、「空気のみで飛ぶか」や、「空気と水の最適なバランスはどれくらいか」等、子どもから出た問題を予想して確かめる。その際、学習経験や既習事項を根拠にして結果を予想させる。このことにより、予想と実験結果のつながりを意識したり、空気と水の性質を対比的に捉えたりするよさを感じる姿が期待できる。
手だて2 根拠を自覚するための予想・実験シートの活用
 PBRを飛ばすために、空気と水の性質を学習していく過程で、「何が」「どうなっていたので」「こうなると思う」という形式で予想・実験シートを繰り返し用いる。このことにより、自分の予想やその根拠を自覚し、友達の予想と比較する姿が期待できる。
手だて3 思考を助けるための現象の視覚化
 空気や水を圧した時の様子、水の入ったPBRに空気を入れていく様子、PBRが発射するときの中の様子を視覚化できるように図や視聴覚機器を使用する。その際、子どもが注目したい要素がつかめるように空気や水を粒子で表したり、動きを遅くしたりして示す。このことにより、自然の事物・現象が起きた順番を理解しやすくなり、PBRが飛ぶとき空気と水の関わり方について根拠をもって説明しようとする姿が期待できる。

 実践を通して、これまで生活経験のない「空気や水」を圧した時に起きる事象や、PBRの飛距離と空気や水の分量、性質を、因果関係として整理して捉えることができる児童が増えた。また、PBRを遠くに飛ばすという共通の目的の中で、空気と水の性質を統合的に理解することができた。一方、実験に入る前に、今回は個人で予想を立て、その後グループで交流して実験を行った。根拠のある予想や仮説を立てられていたかをグループ内で、自分たちで判断して実験内容を決めていく過程には課題がある。また、PRBが飛ぶ仕組みについては、4年生で扱う空気と水の性質より発展的な内容も含むので、提示には工夫がいる。