教育データベース

2018.11.09

小学校

理科

中越

平成30年度

実験計画を立案する力をはぐくむ理科指導

燕市立吉田小学校 橋本 直信

【研究の概要】
 問題解決場面において、自力で実験計画を立てて進められる児童を育てたいと考えている。そこで、私は大学院で実験計画を立案する力に関する研究を行った。実験計画と一言で言っても様々な要素が含まれていることから、実験計画の立案に必要な力を①仮説を設定する力、②測定方法を決定する力、③条件を制御する力、④実験器具を選定する力、⑤実験装置を図で表す力の五つの力に分けて、研究を進めていった。
 その結果、①仮説を設定する力の育成については、一定の成果が見られたものの、その他の力についてはあまり成果が見られなかった。これは、その他の力については、これまでの経験や知識をどう活用するかが求められる力であるため、1単元だけでは効果が認められなかったことや実験計画を立案させる際、実験全体を可視化して検討する手だてが弱かったことなどが原因として考えられる。
 そこで、現場に戻ってからも引き続き研究を続けることにした。本研究では、実験装置図の描き方を児童に示し、計画の妥当性を検討させることに力を入れて指導に当たった。つまり、実験計画を立案する力の五つ目の力である実験装置を図で表す力に重きを置いて指導に当たり、実験装置図を思考ツールとして活用した。そうすることで、実験が視覚化されるとともに、妥当性を検討する視点が明確になり、②測定方法を決定する力、③条件を制御する力、④実験器具を選定する力が伸びていくのではないかと考えた。実践は、第5学年「ふりこの運動」、「種子の発芽と成長」の2単元で行った。
【成果と課題】
 実験装置図の描き方を児童に示し、計画の妥当性を検討させることにより、②測定方法を決定する力、③条件を制御する力、④実験器具を選定する力をはぐくむことができる可能性が見えてきた。また、実験装置図を描くことやその図を検討することに対して肯定的に捉えている児童が多いことが分かった。しかし、今回の研究は実験群、対照群を作って検証したわけではないこと、「条件を制御する力」や「実験装置を図で表す力」に関して、3割から4割の児童には定着が図られていないことから、引き続き研究を続けていく必要がある。