国語の物語教材において、物語をより多面的に捉え、想像を膨らませながら読むには、友達と解釈を共有することが大切であると考える。しかし、1年生の発達段階では、解釈を言語化し、表現することに難しさがあるため、解釈の共有が困難である。
そこで本研究では、1年生の発達段階に合わせ、解釈を表現する手段として「朗読」を用いる。友達と朗読の表現の仕方を考える中で共有が図られ、自分の解釈を明らかにしたり新しい解釈を作り出したりすることができると考え、実践を行った。
1 単元・教材との出会い
単元の導入時、教師が作成した平坦に読まれた朗読を聞かせた。子どもたちは、人物の気持ちや場面の状況が表れない読み方に違和感を覚えた。その後、子どもたちの朗読を録音したものを聞かせ、友達の読み方の工夫を探させた。すると、声の大きさを変えたり、読む速さを変えたりすることで、人物の心情や場面の状況を表すことができるということに気付くことができた。
2 音声表現化と学びのメタ認知
その後、グループに分かれて朗読を紹介し合った。その活動の中で、児童Aは、友達に朗読の良さを認められたり、友達の朗読を聞いたりしたことにより、最初になかった言葉を付け加え、自分の解釈を説明した。児童Eは、最初は解釈が曖昧で、うまく言葉で言い表すことができなかった。しかし、友達の朗読の工夫を見付けたり、その工夫をした理由をについて考えたりする中で、今まで自分の中にはなかった新しい解釈を見付け出すことができ、それを言葉で説明することもできた。
3 成果と課題
抽出児の発言や朗読の変容から、解釈を共有する手段として「朗読」を用いたことで、自分の中にあった解釈がより確かなものになったり、今まで自分の中になかった新しい解釈を作り出したりすることができると分かった。解釈を音声表現する経験を積むことで、今後は文章表現できるように促していく。