教育データベース

2017.11.07

小学校

体育・保健

下越

平成29年度

思考をうながす友達との関わり合いを通して楽しく水泳学習に取り組む児童の育成

村上市立神納東小学校 藤山 晶

 全ての児童に「水泳の楽しさ」を味わわせること、また、水泳における自らの課題に気付き、その解決に向けて思考・判断し、他者に伝える力を養うことは、生涯を通じて心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現する上で重要だ。また、新学習指導要領で求められている資質・能力でもある。
 そこで、次の二つをねらった授業の実現を目指すことにした。

○ 水泳の「できる楽しさ」「伸びる楽しさ」「考えて練習する楽しさ」「協力する楽しさ」を実感できる授業
○ 友達と関わり合いながら思考や技能を高めていく授業

 実現に向けては、同程度の技能をもつ児童がペアを組んで主体的・協働的に学ぶ学習過程を2種類(以降、「バディ学習サイクルA」「バディ学習サイクルB」とよぶ)用意し、それを組み合わせていくことにした。具体的には以下のとおりである。
1 基本を学び、定着を図る「バディ学習サイクルA」
 学習課題を達成するために、①「教わる」→②「助け合いながら取り組む」→③「見せ合い、アドバイスし合う」→④「修正する」のサイクルで行いる。このサイクルを繰り返すことで、水泳の楽しさを実感しながら思考や技能を高めていくことにした。
2 動きを深め、上達する「バディ学習サイクルB」
 学習課題を達成するために、①「考える」→②「助け合いながら取り組む」→③「見せ合い、アドバイスし合う」→④「修正する」のサイクルで行う。「バディ学習サイクルA」との違う点は、①「教わる」が「考える」に変わるところである。今までの学習を振り返りながら、ペアで練習方法を考えたり、自分たちがもっと上達するために何を練習すればよいかをペアで話し合って決めていったりする場面がバディ学習サイクルAより多くなる。このサイクルを繰り返すことで、特に「思考・判断し、伝える力」を高めることができると考えた。

 この実践を2年間にわたって行い、次の二つの結論を得た。
○ 「学んだ基本の動きができているか」「自分ができていないところはどこか」をペアとともに考え、伝え合いながら技能の向上を図るには、「バディ学習サイクルA」と「バディ学習サイクルB」の間隔が長くない方がよい。具体的には「バディ学習サイクルA(2時間)」→「バディ学習サイクルB(1時間)」の組合せを繰り返して、泳法の練習をすると効果的であった。
○ 同程度の技能をもつ児童がペアを組むことで、技能面での序列関係が生まれず、教え合いが活性化することが分かった。ただし、技能は練習するごとに個人差が出てくるので、バディ学習サイクルで学習を進めるに当たっては、途中に泳力チェックの時間を設けて、ペア替えの必要がないかを確認する必要がある。なお、ペア編成に当たっては、できるだけ男女別で人間関係も配慮すると一層教え合いが活性化することも実践を通して明らかになった。