教育データベース

2017.11.07

中学校

算数・数学

新潟

平成29年度

中高の学びの連続性を意識した中学校数学の授業づくり

新潟市立高志中等教育学校 神蔵 康紀

 中高一貫校で学ぶよさは、数学を学ぶ大切さや、次にどのように発展していくのか、数学が社会の発展や自分の将来のためにどう役立つのかについて、継続的に学ぶことができることである。中学校の段階から高校の内容を意識した試行錯誤を積極的に取り入れることができる。すなわち、実際の授業の場において、生徒たちに発展的な実験、観察、資料の収集整理などといった数学的活動を促していくことができる。
 中学校3年で学ぶ関数y=ax^2(以下、^2は2乗を表す。)は、一般に2次関数と包含関係があるが、そのことには触れられずに単元の学習が終わる。その後、高校数学Ⅰで、2次関数の一般式y=ax^2+bx+cをy=a(x-p)^2+qと平方完成してそのグラフはy=ax^2の放物線が平行移動したものであることを学ぶ。今回の研究では、単元の終わりに発展的な課題として、y=ax^2とは別の2次関数のグラフを考えることを通して、関数y=ax^2と2次関数とのグラフの共通点や相違点に気付かせていく。その比較により、関数y=ax^2のグラフの特徴や値の変化の様子について、より鮮明に理解できると考えた。また、中学校3年で一度触れておくことで、グラフの平行移動と式との関係の原理について、高校で学ぶ段階での理解を助けるようになると考えた。
 授業の取組では、y=ax^2のグラフについて2次関数のグラフとの比較により、放物線の頂点はいつも原点にあるものという思い込みを揺さぶる。生徒たちはいくつかの2次関数(今回は、y=x^2-4とy=x^2-4x+4)について作図することで表やグラフで値の変化やグラフの様子を観察し、それらを比較検討する。このことを通して、帰納的に一般的な2次関数のグラフについて学ぶようにした。生徒たちは、課題解決に向け、仲間との協働的な活動により2次関数のグラフについて理解を示した。
 数学Ⅰの学習内容は中学校の内容からの接続を考えて構成することができる。この実践により、生徒にとっては、既習事項だけのつながりよりも、将来学ぶべき内容についても触れることにより、今学んでいる内容についての理解が深めやすいことが確認できた。生徒の学習内容の理解レベルに応じて適切で、将来につなげられる発展課題を扱っていくことは有効であることが分かる。