激動する社会の形成者となる児童たちに、社会事象を一つの視点からだけでとらえるのではなく、広い視野から物事を関連付けて考え、判断・行動する力を養いたいと思っている。それが、学習指導要領の社会科で定められている「公民的資質の基礎」につながると考える。
そこで、本研究では、6年生の歴史学習の中で、小単元ごとに1か所程度山場を意図的に設定する。一つの歴史事象に対して児童が複数の視点から思考交流する場面「異論ワーク」を意図的に設定することで、考えを深めさせようと考えた。
STEP1:複数の視点の中から一つ視点を選択し、自分の考えをもつ。
STEP2:同じ考えの者同士で考えを共有する、「同論ワーク」をする。ここでは、自分と同じ視点から考えた者の話を聞くことで、自分が最初にもった考えを強化する。
STEP3:異なる視点から考えた者でグループを編成し、複数の視点を関連付ける、「異論ワーク」をする。
ここでは、一つの歴史事象について異なる視点から考えた者で関わり合うことで、「同論ワーク」で考えたことを複数の視点から関連付ける。
STEP1~3の過程では付箋、STEP3では付箋とマトリクスを使って気付きや考えを整理させる。
このように、一つの事象を複数の視点から考えることで、自分の考えと自分とは異なる考えを関連付けた。そのことにより、新たな気付きや異同への気付きや考えの視点をもって関わりが生まれ、自分とは異なる視点からの考えを関連付けた見方に、考えを深めることができた。
今後も、「自分の考えをもつ→同論ワーク→異論ワーク」の有効性について研究し、歴史事象について複数の視点から関連付けて考え、判断・行動できる児童を育てていく。