新学習指導要領では、20年度の改訂に引き続き「学ぶことの意義や有用性の実感、科学への関心を高める観点から、実社会・実生活との関連を重視した改善を図る」と示されており、この課題が日本の理科教育に求められ続けていることだということが伺える。
「あかりをつけよう」の単元において、これまでの実践では、豆電球と電池を使い明かりをつける様子を観察し、回路ができているときは明かりがつき、回路ができていないときは明かりがつかないことを学習し、回路の間に様々なものを挟むことで電気を通すものと通さないものがあることを学習する。そして、学習内容を活用して、切り替えスイッチや点滅する仕組みをつかったおもちゃを制作する流れになっている。このことによって、学習内容の定着を図り、学習したことをこれからの生活に生かそうとする態度を育てることをねらっている。しかし、それらのおもちゃやスイッチの仕組みは唐突に紹介され、教科書にあるので面白そうだから作ってみようという受動的な学習となってしまいがちである。
そこで、本研究では、単元の導入の際に学習内容を利用したおもちゃ遊びを不完全な形で体験させ、「もっと良いおもちゃにしたい」という単元を貫く目標を設定する。次に、自分たちが目指す理想のおもちゃを作るために学習するという学ぶ意義をもたせ、しくみを学習する。最後に、これまで解決した課題から「うまくいくだろう」と見通しをもって改良したおもちゃを作り遊ぶ単元を構成することで、学習内容を活かすことができたという有用性を感じられるようにする。