教育データベース

2017.11.07

小学校

社会

下越

平成29年度

社会生活を広い視野から捉える子どもの育成

新発田市立御免町小学校 服部 隆典

 小学校学習指導要領社会科解説編では「地域社会や我が国における人々の社会生活を広い視野から捉え総合的に理解することを通して、公民的資質の基礎を養うことを究極的なねらいとしている教科である」ことが明示されている。これまでの自分の実践を振り返ると、社会生活を広い視野から捉えさせるために、教科書教材を用いて、教科書の課題を中心に授業を行ってきた。「広い視野」を「教科書の代表的な事例」から考え、社会的事象を捉えていこうと考えていた。これでは、児童にとって実感を伴った学習課題にはなりにくく、広い視野から社会的事象を捉え、総合的に理解することにはつながらない。児童の生活に関わる地域教材で授業を行うことで、実感を伴った気付きが生まれ、社会的事象を捉えることにつながる。しかし、地域教材だけを扱っていては社会生活を広い視野から捉えることは難しい。
 
 そこで、本研究では児童の生活と関わりのある地域における学習課題や地域教材を取り上げ、地域教材を中心に授業を行う。その際、地域教材では捉えきれない社会的事象を教科書教材から取り上げて捉えていく。地域教材と教科書教材を効果的に組み合わせることで、地域から社会全体を捉え、社会生活を広い視野から捉える児童を育成できると考えた。
 そこで、本研究では次の二つの手だてを講じた。
【手だて】
1 地域の社会的事象を把握し、単元構成を作成した。地域住民の思いや願いも取り入れることで、教科書にはない人々の思いや願い、地域の実態を知ることができた。そうした実態を取り上げていく中で、社会的事象を捉えていくことにつながると考えた。
2 地域教材を中心に学習を進めていき、地域教材だけでは社会全体の社会的事象を捉えることが難しい単元で教科書教材の事例を組み合わせた学習活動を設定した。学習活動には比較活動と補足活動の二つを設定した。①比較活動では、地域教材と教科書教材の事象を比較させ、違いや共通点を見いだし、社会的事象として捉えていく。②補足活動では、地域教材に教科書教材を補足させて、社会的事象を捉えていく。

 以上の手だてを5年生「水産業のさかんな地域」で実践した。子どもたちの住む地域にある港を中心に単元を構成し、実践していった。授業を進めていく中で、地域の港と教科書で紹介された港を比較したり、地域の港の事象に教科書の港の事象を補足することで、広い視野から社会生活を捉え、理解することができた児童が多かった。一方で、広い視野から社会生活を捉えることができなかった児童もいた。今後はより多くの児童が広い視野から社会生活を捉えらえれるような地域教材と教科書教材のより効果的な組み合わせはないか、その手だてを模索する。