教育データベース

2017.11.07

小学校

特別活動

中越

平成29年度

仲間の思いに寄り添いながら活動する学級集団を目指して

長岡市立希望が丘小学校 片桐 里香

 新学習指導要領では、集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ、様々な集団活動に自主的、実践的に取り組み、互いのよさや可能性を発揮しながら課題を解決することを通して、
①他者と協働する意義や必要性を理解し、行動の仕方を身に付けること
②生活や人間関係の課題を見いだし、解決のために話し合い、合意形成を図ったり、意思決定をしたりすること
③集団活動を通して身に付けたことを活かし、生活や人間関係をよりよく形成するとともに、自他の生き方について考えを深め、自己実現を図ろうとする態度を養うことが求められている。
 これらの育成を図っていくために、学級活動においては、「自分や仲間の思いを自分事として捉えること」が大切であると考えた。
 学級活動では、活動を通して、仲間と協力して一つのことをやり遂げるという貴重な体験をすることができる。やり遂げたときの感動体験は、学級の宝物として子どもたちの心に深く残り、次の活動への意欲へとつながっていく。
 活動や仲間の思いを自分事としてとらえようとせず、各々が好きなことを活動するだけでは、貴重な体験にならない。人と関わりながら、様々な課題や葛藤を乗り越えてこそ、感動体験をすることができる。

 そこで、以下のような手だてを講じ、自分の思いや困り感を安心して声に出し、仲間の呼びかけに好意的に反応する人間関係を築き、感動体験を積み重ねたいと考えた。
1 仲間の思いを「自分から聴く」活動を繰り返す。(話合い活動の構造化)
 仲間の思いを理解するためには、「聴く」ことが必要である。「聴く」活動のサイクルを大切にした話し合い活動を構造化し、繰り返す。仲間が「そういう気持ちだったんだね」と自分の話を聞いてくれることは、安心感を生み出す。この活動を繰り返すことで、仲間の思いに寄り添おうとする共感的な態度を育てる。
2 価値付ける(評価)
 活動の事中、事後において振り返りを大切にし、仲間の言動の価値を伝え合い、共有する場を設定する。また、振り返りの記述を共有し、互いの考えの違いがあるからこそ自分の考えが深まるということを価値付けていく。教師から価値付けの視点を示しながら、徐々に仲間からの価値付け、他学年からの価値付けの場を増やしていくようにする。自分が取り組んだことに対する評価を適切に受けることにより、「仲間は自分のことを見てくれている」「自分のがんばりを認めてくれている」という安心感が生まれる。そして、自分の言動を価値付けてもらったことにより、自分も仲間の言動に関心をもちながら活動しようとする気持ちが芽生えると考える。この活動の積み重ねにより、安心して自分の思いを伝え合おうとする環境を作り、仲間の言動に関心をもち、寄り添おうとする態度を育てる。
 安心して自分の思いを伝えることができる力、自分とは異なる仲間の思いを受け止める力を総称して「ともだちパワー」とし、仲間と力を合わせてやり遂げていく活動を積み重ねることによって“ともだちパワー”を高めたい。ともだちパワーを高めた子どもたちは、「仲間がいるから安心してがんばれる」と自信をもち、意欲的に活動していくと考え、実践を試みた。