体育が好きな児童は多いが、器械運動では思い通りに体を動かせないことや回転することへの恐怖感や不快感からあまり好んでいないという児童もいる。そこで、まずは、児童が器械運動の動きのおもしろさを感じられるような学習課題を工夫していきたい。そして、その中で感じたコツ、手本や友達の試技を見て感じたコツを気付きとして意識させ、自分の体をコントロールするためには、どのようなことに気を付ければよいのかを児童一人一人に考えさせ、技能の向上につなげていきたいと考えている。
そこで、「器械運動について、自分たちの課題をとらえ、全体でのこつの共有化や視聴覚教材の活用、小グループでの連想シートを使った学び合いをすることによって、課題を解決させるポイントが分かり、そのために必要な技能を身に付けることができるだろう。」という研究仮説を立て実践を行った。
次の4点の実践からその検証を行った。
1 連想シートを使って、動きの「感じ」→「気付き」へ技のコツを追求させる。
児童には、目標とする技が何となくできた、できなかったではなく、しっかりと意識した
動きの中で「できた」を感じてほしい。そのため、技に対して、どのような点に気を付ければうまくいくのかを意識させる必要がある。そこで単元を通して、連想シートを使い、練習の中で感じたことをどんどん連想させていき、うまくいった動きをコツ(気付き)として追求させたい。その際、うまくいかなった動きも大切にし、自分はどのような動きをして、どうだったのかという練習内容全体を「見える化」させていく。
2 視聴覚教材によるお手本を提示する。
技のイメージをもたせるため、児童には動画によるお手本を提示する。お手本を見ることにより、どんなところに気を付ければよいのかを視覚的に理解できる。また、動画であるため、気になる局面に着目し繰り返し見ることができたり、スローモーション機能を活用したりすることもできる。また、連想シートとあわせて提示し、練習だけでは気付かないコツを見付ける手段としても活用していく。導入時だけでなく展開時でも児童が自由に操作し、確認できるようにする。
3 練習内容をステップ化して提示する。
学級の実態に即して、練習内容をスモールステップしたものを学習カードとして提示す
る。いきなり技の完成を目指すのは難しいが、少しずつ技が完成に近づいていくというプロセスを経ることで達成感を得ることができる。また、技の局面や部位を限定して示しているので、連想シートとも関連させることができ、コツを見つけるために有効な手段であると考えられる。チェック項目を「できた」「いつでもできる」「友だちのOK」という3項目設定し、自己評価だけでなく、他者評価させることにより、他の人の技を見る機会も意図的に設定する。
4 4~5人の小グループごとに練習をさせ、ミニ先生を配置する。
基本の形として練習の形態を4~5人の小グループで行うものとする。その中で、技を上手にできる児童をミニ先生として配置する。また、グループ内にミニ先生がいない場合は、他のグループから自由に行き来させ、グループに1人以上ミニ先生を配置できるようにする。ミニ先生には「どのようなポイントに気を付ければ技が上手にできるのか」「教えたポイントで有効だったものは何か」を意識させ、それ以外の児童には「教えてもらったポイントで有効だったものは何か」を意識させ、連想シートを記入していくように声を掛ける。