「すべての児童が運動を好きになってほしい。」この願いはすべての教師がもっているものである。しかし、技能面での「できる」「できない」がはっきりしている体育科においては、運動嫌いの児童が少なからずいるのが現実である。私は体育授業の中で「できた」だけでなく「分かった」という体験を児童がすることによって、運動好きの子どもが増えると考える。そして、子どもたちの「できた」「分かった」という気持ちは友達との関わり合いの中でこそ生まれるものであると考え、体育授業の関わり合いを活性化するための手だてを模索する。今回の研究では高学年「器械運動」の実践において、次の手だてを検証した。
1 確かな運動技能を身に付けるために
マット運動で行う様々な技ができるためには、その基となる基礎感覚が必要である。繰り返し経験させ、基礎感覚を養うことが、マット運動における技能の向上へとつながる。本単元では毎時間基礎感覚づくりの運動に取り組ませ、そこで身に付けた感覚や、動きのコツを技の練習に生かせるようにした。
2 友達との関わり・学び合いを活性化するために
単元を通した小グループでの学び合いを取り入れた。グループ内でのめあての共有や見合う際の視点の共有を行い、焦点化された教え合いができるようにした。また、技のポイントを明確にするためにコツを言語化して表現させた。それにより、学習の中での教え合いが活性化するようにした。さらに、学習作文で学びを表現させる活動を取り入れ、「分かった」ことを明確化し、次時の教え合いに生かせるようにした。
学習の中で、児童は自らの見付けたコツを自分なりの言葉で表現し、友達と教え合い練習に取り組んだ。運動が苦手で、自分では技ができなくとも、友達の動きにアドバイスする姿も見られ、体育授業に対する「楽しさ」は向上したと言える。
今後も他の領域で、児童同士が関わり合い、学び合えるための手だてを模索していく。