次期学習指導要領等に向けた「審議のまとめ」の中の造形的な見方・考え方に「感性や想像力を働かせ、対象や事象を、形や色などの造形的な視点で捉え、自分のイメージをもちながら意味や価値をつくりだすこと」とある。自学級の児童を見てみると、作品を鑑賞する時に、色や形など造形的な視点をもって鑑賞したり、言語表現したりすることができない傾向があった。
そこで、低学年の段階から造形的な視点をもち、対話的な学びを重視した鑑賞活動を積極的に取り入れることが必要であると考えた。児童は、作品について自由に語り合う経験を積み重ねていくことで、見方・考え方が定着し、作品から感じ取ったことを造形的な視点をもって、言語表現することができるのではないかと考え、次のような手だてを講じた。
1 アートカードを活用した鑑賞活動
色や形などの造形的な視点を捉えて、様々な美術作品を鑑賞することができるように、複数枚のアートカードを活用した。児童は、アートカードを介して他者と対話をしながら鑑賞することで、自分の思いを語ったり、共に考えたり、感じたことを確かめ合ったりする姿が見られた。
2 考える過程を大切にする学習課題
想像力を働かせ、主体的に鑑賞活動に取り組むことができるように、クイズの要素を取り入れた学習課題を設定した。児童は、グループの中で「自分の思いを伝える」、「友達の考えを聴く」ことを繰り返し行うことで、作品の多様な見方や考え方を身に付けることができた。また、教師が主体となって児童の思いや考えを比べたり、価値付けたりすることで、深い学びへとつなげることができた。
これらの鑑賞活動を通して、児童は造形的な視点を根拠としながら、自分の思いを他者に進んで伝えようとする姿が見られた。また、作品の見方や考え方を楽しみながら交流し合うことで、想像を広げて言葉に表したり、文章に書き表したりすることができるようになった。