次期学習指導要領では、「互いの気持ちや考えなどを外国語で伝え合う対話的な言語活動を重視する」こととしている。(中教審第197号)そこで、授業の初めに毎時行っている会話活動に焦点を当て、会話を継続させる力を養いたいと考えた。
生徒に自己表現のためのトピックを与えて会話させても、日本語が混ざったり、伝えたい内容を表す単語がわからないとそこで止まってしまったりする姿が実態としてあった。それは、何とか英語で自己表現をしたいという情意面の欠如や、会話を継続させるための表現が身に付いていないことから起こると考えられる。そこで、次の2点からその解決に迫った。 (1)「Helping listの活用」
生徒の会話をICレコーダーに録音し、日本語が出てしまう場面を取り出し、生徒全員で共有した。また、そのような時に英語でどう表現したらよいかが日本語と英語両方で書かれたリスト(helping list)を提示し、ペアで問題を出し合う活動をくり返し行った。また、その際に部分的にヒントをみることができるような工夫をして、段階的に覚えさせた。
(2)「さいころトーク」
文型ドリルで出てきた表現をアレンジさせ、友達に聞きたい質問を一人6つ作らせた。「自分のことを一文で紹介してから相手に質問をする」という流れで会話するよう指示をした。4人グループを作り、さいころをふって出た目の番号の質問をグループメンバーにさせた。返答+1文、できればもっと長く会話を続ける、と回を重ねるごとにハードルを上げた。(1)のICレコーダーで会話を録音して聞かせたことで生徒が自身をメタ認知でき、それが「英語で会話をしたい」という動機付けにつながった。 また、生徒の困り感に沿った表現が提示されているので、日本語や沈黙を回避でき、流暢さを増すことができた。(2)で、聞いてみたい質問を用意させたことで情意面の向上が見れた。また、表現が苦手な生徒も仲間の発話を参考に質問に答えていた。今後、一つのトピックについて何度も会話を往復させて話せるための方策について探っていきたい。