教育データベース

2017.02.02

中学校

理科

下越

平成28年度

科学的な根拠を明確にし、現象を説明できる生徒の育成を目指して

五泉市立山王中学校 荻野 伸也

 理科の学習において、科学的思考力・表現力・判断力の育成は重要な要素である。しかし、本校生徒の実態をレポート記述やアンケートから分析すると、考察時に直感や既有の科学的概念と観察・実験結果を結び付けていない実態が明らかになった。
 そこで、生徒が根拠を明確にできると考える手だてを4点を導入することにした。導入した手だては、「1枚ポートフォリオ評価」、「スモールステップのワークシート」、「ワールドカフェ」、「視覚的に捉えられるツール」の4点である。2年間、中学校3年「化学変化とイオン」の単元において、この4点を用いた実践を行った。

1 研究1年次(手だての有効性の検証)
 手だて4点を取り入れた授業において、生徒のワークシート記述を分析すると、根拠となる知識や科学的概念が全て記述されていた生徒の割合が、平均80%以上であった。さらに、各手だての有効性を、ワークシート記述との相関や、プロトコル分析から行った。その結果、それぞれの手だてを活用して、生徒が現象の根拠を見いだしていることが明らかになった。生徒が、現象の根拠を明確にする上で、手だて4点は有効であると立証できた。
2 研究2年次(手だてを利用した説明活動の充実)
 2年次は、手だて4点を活用しながら、生徒一人一人が他者に説明する活動を導入した。他者への説明活動は、「主体的・対話的で深い学び」を促すことにつながる。評価方法を工夫しながら実践を重ね、生徒の変容を分析した。分析の結果、多くの生徒が、現象の根拠を明示しながら他者に説明していく姿に変容していった。
 本研究で、導入した手だて4点は根拠を見いだす上で有効であると立証できた。さらに、説明活動を充実させることで、生徒が根拠を意識して事象を捉える姿に変容していくことが明らかになった。今後、他の単元でも実践を積み重ね、「主体的・対話的で深い学び」を促していく。