中教審の教育課程企画特別部会は、新しい時代に必要となる資質・能力の1つとして、「知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)」を挙げている。つまり、習得した知識・技能を活用する力が求められている。私は、次の2つの手だてを用いて実践を行った。
1 児童に見通しをもたせる課題提示と教具の工夫
私の今までの経験では、習得した複数の知識を組み合わせて考える問題や日常生活に置き換えて考える問題になると、答えられない児童が多かった。これは、児童が学習した知識・技能をどう使っていいのか見通しをもつことができていないことが原因であると考えられる。児童は見通しをもつことができれば、課題解決に向かうことができる。そのためには、課題やその提示方法を工夫し、見通しをもたせる必要がある。また、課題を解決するためのツール(教具)があればなおさらである。そして、課題を解決していく中で、習得した知識・技能が課題の解決に役立つよさや日常生活との結びつきを実感することができると考えた。
2 自分の考えを深める3つの説明活動
1つ目の説明活動は、個人➡班(教師)➡全体とスモールステップで行う説明活動である。班での話合い、または教師への説明を挟むことで、自分の意見に自信がもてなくても、班の友達の意見を聞いて自信を得たり、意見を変えたりしながら自分の考えを確定することができる。2つ目の説明活動は、ネームプレートを活用し、自分の立場を示して行う説明活動である。ネームプレートを活用することで、全員が自分の立場を明確にし、課題解決を行うことができる。3つ目は、班で協力し、全員が参加する状態を作り出す説明活動である。教師に説明し、合格をもらわないと実験できないというルールを作る。教師に説明する際、班の誰が指名されても説明できるようにしておくことを事前に話し、他人事ではいられない状況を意図的に作る。
以上の3つの説明活動を状況に応じて選択したり、組み合わせたりすることで、自分の考えを深め、習得した知識を活用する力をはぐくむことができると考えた。